当院スタッフによるブログBLOG8

体外受精のリスクについて(胚培養士から)

胚培養士のお話

体外受精をご検討されている患者さまへ

私達は胚培養士として、日々体外受精の培養室で大切な卵子や胚の管理を担当しております。本日は、体外受精に伴うリスクについて、培養室からの視点も交えながら、できるだけわかりやすくご説明させていただきます。

1. 培養過程におけるリスク

 

培養環境に関するリスク

 

培養室では、胚の発育に最適な環境を提供するため、温度や湿度、気体濃度などを厳密に管理しています。しかし、以下のようなリスクが存在します:

  • インキュベーターの微細な環境変化による胚の発育への影響
  • 培養液の品質変化による受精や胚発生への影響
  • 微生物汚染のリスク(極めて稀少)

これらのリスクに対し、私たち胚培養士は:

  • 24時間体制での環境モニタリング
  • 厳格な品質管理システムの運用
  • 定期的な機器のメンテナンス などの対策を講じています。

 

受精・発生に関するリスク

 

体外での受精・発生過程には、以下のようなリスクがあります:

  • 受精が成立しない可能性(10-15%程度)
  • 受精後の胚発生が停止するリスク(20-30%程度)
  • 染色体異常などの発生(自然妊娠と同程度)

 

2. 採卵に関連するリスク

 

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

 

  • 発症頻度:中等度〜重症は約1-5%
  • 症状:腹部膨満感、呼吸困難、むくみなど
  • 予防対策:投薬量の調整、モニタリングの徹底

 

その他の身体的リスク

 

  • 採卵時の出血(1%未満)
  • 感染症(0.5%未満)
  • 麻酔に関連する合併症(極めて稀少)

 

3. 多胎妊娠のリスク

 

複数胚移植を行った場合:

  • 双胎妊娠:15-20%
  • 三胎以上:1%未満

これらのリスクを低減するため、適切な胚移植数の検討を行います。

 

4. 心理的・経済的負担

 

  • 治療の不確実性によるストレス
  • 採卵・胚移植の繰り返しによる精神的疲労
  • 高額な治療費用

 

リスク低減のために私たちができること

 

  1. 徹底した品質管理

  • 培養室の清浄度管理
  • 培養環境の24時間モニタリング
  • 二重チェックシステムの導入
  1. 技術の向上

  • 最新の培養技術の導入
  • スタッフの継続的な教育・訓練
  • 培養データの詳細な分析と改善

  1. 患者さまとの連携

  • 治療経過の丁寧な説明
  • 不安や疑問への迅速な対応
  • 個々の状況に応じた治療計画の提案

 

おわりに


体外受精には確かにリスクが存在しますが、私たち胚培養士は、そのリスクを最小限に抑えるべく、日々細心の注意を払って業務に当たっています。

ご不明な点やご懸念がございましたら、遠慮なく担当医や培養士にお申し付けください。私たちは患者さまの大切な治療のために、常に最善を尽くしてまいります。

治療に関する詳しい情報や具体的な数値については、実際の治療を担当する医療機関にてご確認ください。各医療機関によって、成功率やリスクの発生頻度が異なる場合があります。

〒150-0022
東京都渋谷区恵比寿南1丁目4番15号 恵比寿銀座クロスビル5階
[患者様] TEL : 03-6452-4278  Mail : info@ebisu-womens.jp
[業者様] TEL : 03-6452-4276  Mail : office@ebisu-womens.jp
※なお、業者様からのご連絡は緊急の場合を除いてメールにてお願い致します。
院長堤 麻衣
診療科目産婦人科

診療時間
8:0013:00 - 8:3013:00 8:3013:00
17:0021:00 - 15:0017:00

休診日:木曜日・祝日・第3日曜日

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